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鹿児島地方裁判所 昭和48年(わ)42号 判決 1973年8月31日

本籍

鹿児島県日置郡伊集院町土橋一、四三八番地

住所

鹿児島市中央町二〇番地の一一

洋品雑貨小売業

尾堂照夫

昭和二年八月二一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官富田益行出席のうえ審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役八月および罰金三〇〇万円に処する。

右罰金を完納できないときは金一万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判決定の日から三年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、鹿児島市中央町二〇番地の一一に店舗をもち、男子向洋品雑貨の小売業を営んでいるものであるが、所得税を免れようと企て、売上の一部を除外して架空名義の銀行預金および株式等の有価証券を取得して蓄積しあるいは期末棚卸商品の一部を除外する等の行為によりその所得を秘匿したうえ、

第一  昭和四四年分の総所得金額は、一一、三六八、六七五円であって、これに対する所得税額は四、〇八八、三〇〇円であったのに、昭和四五年三月一一日、同市易居町一番六号所在の鹿児島税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は一、三五九、二七三円で、これに対する所得税額は七八、六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により右年分の正規の所得税額と右申告税額との差額四、〇〇九、七〇〇円の所得税をほ脱し、

第二  昭和四五年分の総所得税額は一八、〇二九、四〇一円であって、これに対する所得税額は七、四七三、五〇〇円であったのに、昭和四六年三月九日、前記税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は一、九一二、一三三円で、これに対する所得税額は一四三、八〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により右年分の正規の所得税額と右申告税額との差額七、三二九、七〇〇円の所得税をほ脱し、

第三  昭和四六年分の総所得金額は二〇、三三三、四九〇円であって、これに対する所得税額は八、二一五、二〇〇円であったのに、昭和四七年三月六日、前記税務署において同税務署長に対し、総所得金額は四、六四二、七五〇円で、これに対する所得税額は六九九、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により右年分の正規の所得税額と右申告税額との差額七、五一六、二〇〇円の所得税をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示各事実につき、

一、被告人の当公判定における供述

一、被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書および検察官に対する各供述調書

一、隈元慶吉、尾堂アヤ子の大蔵事務官に対する各質問てん末書および検察官に対する各供述調書

一、岡元アキ、阪井忠男、小谷義樹の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、隈元慶吉、岡元アキ、小谷義樹の各上申書

一、国税査察官池田義生作成の(有価証券取引状況調)、(簿外預金、借入金取引状況調)の副題付の各調査事績書

一、熊本国税局収税官吏作成の脱税額計算書説明資料

一、熊本国税局査察課作成の昭和四七年度一号事件参考資料綴

一、押収してある、(1)昭和四四年分、昭和四五年分、昭和四六年分の所得税の各確定申告書(昭和四八年押第六九号の2・3・4)、(2)メモ一組(前同号の20)、(3)証明書八綴(前同号の34・35・40・41・42・43・44・45)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は所得税法第二三八条第一項に該当し(懲役および罰金併科)、刑法第四五条前段の併合罪であるから、懲役刑につき同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑につき同法第四八条第二項により合算額の範囲内で、被告人を懲役八月および罰金三〇〇万円に処し、同法第一八条により右罰金を完納できないときは金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、諸般の事清を考慮し同法第二五条第一項によりこの裁判確定の日から三年間、右懲役刑の執行を猶予することにする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松本光雄)

右は謄本である。

昭和四八年九月六日

鹿児島地方裁判所

裁判所書記官 田代尚盛

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